前頭側頭葉変性症・1 基本

ドイツの精神医学者であるアーノルド・ピック氏が、1982年に言語障害、記憶障害と意欲低下の臨床症状を呈し、
剖検下肉眼的に左側頭葉の限局性萎縮を認めた71歳の男性を報告したことに始まります。

現在、前頭側頭型認知症、意味記憶障害型認知症、進行性失語型認知症の3つを総称して前頭側頭葉変性症とよぶことになっています。ピック病というのは、この3つの認知症の原因となるもっとも多い疾患です。
FTDの頻度はADの約1/3といわれ、ADに比べて発症年齢が若く、女性より男性が多い。
FTDの初期においては、記憶障害が余り目立たず、主に人格変化がみられます。そのため、しばしば統合失調症や躁うつ病、更年期障害などと間違われたりもします。また、言葉の意味がわからなくなったりすることで、見かけ上は記憶障害があるようにみえるため、ADと間違われることもあります。FTDでは初期から病識がないため、受診や通院などが困難になる場合があります。

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1. 前頭側頭型認知症[前頭葉優位](FTD)
  A 臨床類型
   1)脱抑制型
   2)無欲型
   3)常同型
  B 病理類型
   1)ピック型
   2)前頭葉変性型
   3)運動ニューロン疾患(MND)型
2. 意味記憶障害型認知症[側頭葉優位](SD)
3. 進行性失語型認知症[前頭・側頭・(頭頂葉)](PA)

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前頭側頭型認知症[初期~中期]のチェックリスト
1. 状況に合わない行動
場所や状況に不適切と思われる悪ふざけや配慮を欠いた行動をする。
また、周囲の人に対して無遠慮な行為や身勝手な行為をする。
2. 意欲減退 
引きこもり(閉じこもり)、何もしない(不活発)などの状態が持続し、改善しない。
思い当たる原因は特になく、本人の葛藤もみられない。
3. 無関心
自己の衛生や整容に無関心となり、不潔になる。
また、周囲の出来事にも無関心になる。
4. 逸脱行動[脱抑制]
万引きや痴漢などの軽犯罪を犯す。しかし、自分が行ったことの意味を理解できず、反省したり説明したり説明することができないとともに、同じことを繰り返す。
5. 時刻表的行動
日常生活の様々な行為(食事や入浴、散歩など)を、時刻表のように毎日決まった時間に行う。この際、止めたり、待たせたりすると怒る。
6. 食べ物へのこだわり
毎日同じもの(特に甘いもの)しか食べない。
制限なく食べる場合がある。
7. 常同言語[滞続言語]、反響言語
同じ言葉を際限なく繰り返す。また、他人が言った言葉をオウム返しする。他人が制止しても一時的にしか止まらない。
8. 嗜好の変化
食べ物の嗜好が大きく変わる。(薄味を好んでいたのが、突然、甘味・酸味・塩分・油を好むなど)。
アルコールやタバコなど、以前の量を超えて毎日大量に摂取する。
9. 発語障害[寡言、無言]、語義失語
無口になったり、語彙(ごい)が少なくなる。
ハサミやメガネなどを見せて尋ねても、名前や使い方がわからない。
10. 初めは記憶や見当識は保持
最近あった身の回りの出来事などに対する記憶は保たれ、日時も間違えない。
外出しても道に迷わない。
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※3個以上該当する場合、前頭側頭型認知症が疑われます。
また、4,5,7,9,の1項目でも該当すると前頭側頭型認知症の可能性があります。

若年認知症の臨床、りんくる2008.20他より宮永氏の文章より引用しています。
(宮永和夫/南魚沼市立ゆきぐに大和病院院長、若年認知症サポートセンター理事長)
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