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記憶のメカニズム・・・1

「記憶」するとはどういうことだろうか。
粘土に手を押しつけると手形が残るように、脳の中にも何らかの“記憶の跡”が残っているはずだと考えられている。現在、その跡とは、神経細胞のネットワーク(神経回路)の変化だといわれている。つなぎ目(シナプス)が大きくなって情報伝達の効率が上がったり、つながり方がかわったりするというのだ。さらに重要なのは、その変化が維持されるということらしい。ネットワークの変化が維持されていれば、あとで同じパターンの情報伝達を行うことができる。つまり、記憶を「思い出す」ことができる。
記憶は、その内容や覚えている時間の長さによって、いくつかの種類に分けることができる。そして、記憶の種類によって、記憶する時に使われる脳の場所や、記憶が保存される場所がちがうと考えられている。
記憶と関係が深いものに「学習」がある。学習とは、新しい情報や行動の仕方を記憶することだといえる。また、「失敗から学ぶ」というように。経験をもとにこれまでの行動の仕方や考え方を変化させることも、学習だといえる。記憶と同じく、学習によっても神経細胞のネットワークに変化がもたらされると考えられている。
記憶が脳にきざまれるまで
私たちの記憶は「大脳皮質」に保存されていると考えられている。
記憶をつくるときに重要な働きをするのが、脳の内部にある「海馬」という部位だ。視覚や嗅覚、触覚といった各感覚器官から送られてきた信号はまず、大脳辺縁系にある「嗅内皮質」に集められ、その後、隣の「海馬」に送られます。嗅内皮質には、「嗅」という文字がついていますが、嗅覚に限らず、あらゆる感覚情報がここに集められます。海馬ではこれらの信号を整理・統合し、大脳皮質にある「視覚野」や「嗅覚野」といった、それぞれ視覚や嗅覚の情報を処理する場所へと送り、記憶として格納します。
記憶の読み出しにも、一時的に(最大で数ヶ月程度)海馬は必要である。ただし、一定期間がすぎれば、海馬の助けがなくても大脳皮質にある記憶を読み出せるようになる。
なお、体の動かし方など、言葉にできない記憶は、一部、小脳に保存されていると考えられている。
記憶の種類(内容による分類)
意味記憶
言葉の意味や数式、年号など、いわゆる知識とよばれる記憶。
エピソード記憶
個人の経験や出来事にもとづく記憶。海馬がないと新しいエピソード記憶を覚えられない。
手続き記憶
特定のスポーツの技術や自転車の乗り方など、体の動かし方の記憶。この種類の記憶は、海馬がなくても覚えられるようだ。
※Newton 2010.3、2017.3より引用しています



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