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若年性認知症の疫学調査(2006〜2008年に調査、2009年3月に発表)

若年性認知症者の現状と課題
筑波大学大学院人間総合科学研究科疾患制御医学専攻精神病態医学分野
教授 朝田 隆

1 はじめに
わが国の認知症介護は、介護保険制度の開始、グループホームの整備などにより世界のトップレベルに達したと思われる。そうなって初めて、若年性認知症では経済、医療・ケア、家族の絆と、どの面をとっても極めて深刻なことに気付かされた。処遇、治療、そしてご家族への支援などに関して、老年性の認知症とは異なる固有の問題点がある。それにもかかわらず、この大きな課題は、ほぼ手付かずのままだと注意が喚起されるようになったのである。
 
2 若年性認知症とは
まず「発病年齢と調査時点における年齢がいずれも65歳未満の者」と定義した。
そのうえで、①若年性認知症の有病率を算出すること、②当事者・家族が直面する問題点を明らかにすることを研究の目的とした。

3 若年性認知症の有病率
2006〜2008年にかけて全国の5県で若年性認知症に関する疫学調査を実施した。調査実施地域は、熊本県、愛媛県、富山県、群馬県、茨城県の全域(総人口は930万人余り)である。いずれの地域でも医師会の協力を得て実施し、認知症の医療や保健・福祉などにかかわる可能性があると思われるすべての施設・機関に対して2段階でアンケートを発送し、回答を得た。
得られたデータをもとに推定された18-64歳人口における10万対の患者数は、47.6人(95% CI:45.5-49.7)。男性57.9人、女性36.7人と男性に多かった。全国における推定患者数は3.78万人と推定された。
基礎疾患として、
1. 脳血管障害  39.8%
2. アルツハイマー病  25.4%
3. 頭部外傷後遺症  7.7%
4. FTLD  3.7%
5. アルコール性認知症  3.3%
6. DLB/PDD  3.0%

男性のVaD有病率は女性の2倍以上であったが、ADについては女性の有病率が高かった。最多であったVaDのタイプ別では、脳出血、脳梗塞、くも膜下出血が多く、多発性脳梗塞やラクナ梗塞が多い高齢者の脳血管障害とは対照的である。わが国で近年減少したとされるのは、老年期の脳血管障害である。近年注目されるようになった変性性認知症である前頭側頭葉変性症(FTLD)やレビー小体型認知症(DLB)がある程度の割合で認められた。なお頭部外傷後遺症、アルコール性認知症の割合も少なくない。何ゆえVaDがさほど注目されてこなかったかについて考察した。VaD患者とその家族は脳血管障害によって惹起された身体機能障害に直面し、まずはその回復に専念する。また医療者にも同様の傾向があったかもしれない。その結果、認知障害は副次的なものとみなされてあまり注目されなかったのかもしれない。

4 患者の概況
 これについては、基準日における年齢が40歳代以下は13%程度と少なく、約8割は50歳代以上であった。推定発症年齢についても同様の傾向があったが、40歳代以下での発症が約3割であった。調査時点での重症度は、軽度・中等度・重度がそれぞれ3分の1程度であった。現在の生活の場では、自宅と病院・施設との比率はほぼ等しかった。介護保険の要介護認定については、「申請なし」が3分の1以上と多く、「要支援1」から「要介護5」まで満遍なく分布していたが、要介護3以上が3分の1を占めた。日常生活動作(ADL)については、概して自立は半数以下であった。基礎疾患別に見ると、アルコール性とFTLDにおいて自立度が高いのに対して、VaDは自立度が低い傾向にあった。合併症については、高血圧、糖尿病、高脂血症、てんかんと続いた。とくに高血圧は3割近い症例で認め、糖尿病も1割以上の例で認めた。
ー続く
(精神医学2009/職リハネットワーク2011から引用しています)
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