前頭葉優位型アルツハイマー病とは?
前頭葉優位型アルツハイマー病(fvAD)は、行動異常を伴う前頭葉側頭型認知症(bvFTD)と共通する行動異常や人格変化を呈し、前頭葉の脳萎縮や脳循環・代謝の低下を示す。fvADでは、ADの特徴であるエピソード記憶障害、視空間認知障害も伴うことが多く、前頭葉症状としては、bvFTDよりも遂行機能障害、脱抑制と無気力が混在する状態を呈することが特徴的である。アミロイドPETではfvADは陽性になり、bvFTDとの鑑別を確定できる。
※臨床的に診断されたFTD288例中35例でアミロイドPET陽性であったことも報告されているようです。これは誤診の可能性が高いようです。またSDと診断された中にもfvADがあったようです。一般的にアルツハイマー病では早い時期からエピソード記憶や視空間認知に障害が現われますが、早い時期にFTDやSDではそれらの障害がないようです。
fvADとbvFTDの比較
fvAD(前頭葉優位型アルツハイマー病)
臨床症状
FTDに特徴的症状:脱抑制(無気力と混在)、常同行為、遂行機能障害
記憶障害:あり
視空間認知の障害:あり
画像所見
MRI萎縮部位:前頭葉(軽度〜中等度)
SPECT低下部位:前頭葉+側頭・頭頂葉
アミロイドPET:陽性
病理所見
アルツハイマー病理(前頭葉>後頭葉)
治療
コリンエステラーゼ阻害薬・メマンチン
bvFTD(行動異常を伴う前頭葉側頭型認知症)
臨床症状
FTDに特徴的症状:脱抑制、常同行為、遂行機能障害、無気力・無関心
共感欠如、食事の変化
記憶障害:なし
視空間認知の障害:なし
画像所見
MRI萎縮部位:前頭葉(中等度〜高度)
SPECT低下部位:前頭葉
アミロイドPET:陰性
病理所見
タウまたはTDP-43
治療
SSRI
※2015 Vol.26 老年精神医学雑誌より引用
※臨床的に診断されたFTD288例中35例でアミロイドPET陽性であったことも報告されているようです。これは誤診の可能性が高いようです。またSDと診断された中にもfvADがあったようです。一般的にアルツハイマー病では早い時期からエピソード記憶や視空間認知に障害が現われますが、早い時期にFTDやSDではそれらの障害がないようです。
fvADとbvFTDの比較
fvAD(前頭葉優位型アルツハイマー病)
臨床症状
FTDに特徴的症状:脱抑制(無気力と混在)、常同行為、遂行機能障害
記憶障害:あり
視空間認知の障害:あり
画像所見
MRI萎縮部位:前頭葉(軽度〜中等度)
SPECT低下部位:前頭葉+側頭・頭頂葉
アミロイドPET:陽性
病理所見
アルツハイマー病理(前頭葉>後頭葉)
治療
コリンエステラーゼ阻害薬・メマンチン
bvFTD(行動異常を伴う前頭葉側頭型認知症)
臨床症状
FTDに特徴的症状:脱抑制、常同行為、遂行機能障害、無気力・無関心
共感欠如、食事の変化
記憶障害:なし
視空間認知の障害:なし
画像所見
MRI萎縮部位:前頭葉(中等度〜高度)
SPECT低下部位:前頭葉
アミロイドPET:陰性
病理所見
タウまたはTDP-43
治療
SSRI
※2015 Vol.26 老年精神医学雑誌より引用
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この記事へのコメント:
らら : 2021/10/27 (水) 17:24:43
ADと診断された方でFTDと同じような症状の方がいますね。
その違いは何かと調べていたら、こちらに辿り着きました。
識別は、アミロイドβでしょうか。
具体的な検査や識別を今度教えていただけますか?
若年性のADは、FTLD同様、変性疾患で難病だと思います。
当然ですが、ひとりひとり症状が違って、診断は難しいと思います。
のんた2号 : 2021/10/28 (木) 07:37:01
あるデータによると、臨床的に診断されたFTD288例のうち、アミロイドPETの検査では35例が陽性だったようです。
別のデータではFTD14例中、bvFTD2例、SD2例がアミロイドPETで陽性だったとの報告もあります。
事例も報告されていますが9年間bvFTDと診断されていましたがエピソード記憶障害や視空間認知障害を伴っていたようです。誤診ですね。
fvADはアルツハイマー病ですから4種の抗認知症薬が使えます。
現在、確定診断はアミロイドPETになると思います。
アルツハイマー病も多様です。相談も難しいですが日々の生活を整えるケアを一緒に考えてあげたいですね。