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前頭側頭葉変性症・4 基本

前頭側頭型認知症のケアと対応
日本でただ一つ、FTDの人を対象としたグループホームがあります。岡山県笠岡市にある「ラーゴム」です。多くのFTDの人をケアする中で、FTDの人の身に起こるつらさは、
1. 言葉の障害
2. こだわり行動(繰り返し)
3. 身体動作の障害

の3つが特に大きいといいます。以下、ラーゴムにおけるケアの経験を通じて得られた、FTDの人の特徴と対応の仕方についてまとめてみました。
1. 言葉の障害
初期には、意味の伝わらないことを言ったり、限られた特定の言葉しか発することができなかったりする場合もあります。後期に至ると、ほとんどの場合、発語や会話がまったくできなくなっていきます。このように、言葉で表現することに大きな障害が生じるのがFTDの大きな特徴です。
その場合、本人は相手とコミュニケーションができないことに恐怖やいら立ちをもっているとともに、今ある力で精一杯伝えようとしていると思われます。それが大声や奇声などになることもあるため、介護職はそのことを十分に理解し、その人特有のコミュニケーションスタイルを学び対応していく必要があります。
2. こだわり[繰り返し]行動
FTDのこだわり(繰り返し)行動は、自閉症のそれと類似しているともいわれています。人によってさまざまですが、たとえば。「毎日、同じ時間に同じ道を通って、同じものをスーパーで買う」「他のものを一切飲まず、牛乳を毎日2リットル飲む」「座ったら立つという動作を何度も繰り返す」などです。アルツハイマー病の人でも、一見おかしな行動がみられますが、それらは記憶障害や見当識障害などに起因しているものであり、FTDのそれとはまったく異なります。FTDの人のそうした尋常でない固執的な行動は、間違って行うというのではなく、強い衝動をコントロールできないために現れるものといえます。それが往々に、社会や周囲の人から奇異に見られたり、軋轢を生んだりすることになります。
こだわり行動の中には、その人にとって意味のあること(よいこと)もありますが、往々にスポイすること(悪いこと)のほうが多くあります。たとえば、毎日の散歩が健康にいいといえ、炎天下の中、休憩することもなくひたすら歩くのではけっして体にいいといえません。したがって、健康面(甘いものを食べ続けるなど)や共同生活面(周囲に迷惑な奇声・大声など)における影響・程度を考慮しつつ、その人にとって望ましい対応や調整を考えていく必要があります。
多くの場合、どんなに説明や説得を試みてもこだわり行動を止めることは困難です。ただし、本人は深い意味をもっていない場合もあるため、ちょっとしたきっかけで変わる可能性もあります。
3. 身体・動作の障害
FTDにおいては、病気が進行していくと、体が動かない、思うように動作をコントロールできないなどの障害も現れます。具体的には、手足などに力が入りすぎてしまうため、それが歩行や摂食の難しさにつながります。首がうなだれているように見えても、触ってみると、筋の緊張や固縮がみられたりします。そうした障害は他者から見えにくいため、たとえば食事に手をつけない場面では、食欲や意欲の低下とみなされてしまいます。したがって、介護職は、その人の身体・動作のどこに障害があるのかといった特徴を十分に把握し介助を行う必要があります。

※スウェーデン語のラーゴムという言葉は、「適度」「ほどよい加減」といった意味をもっています。その意味で、ラーゴムは、その名のとおり、FTDのそうした障害を適度に緩和し折り合いをつけるためのケアや環境調整を上手に行っているといえます。
なお、FTDは、こだわり行動や「わが道を行く行動」がクローズアップされがちですが、生活においては言葉の障害が大きく、本人の苦痛や困りごとの上位を占めると思われます。そうした言葉やコミュニケーションの障害が他者とのトラブルに至ったり、興奮や暴力につながったりすることも少なくありません。
いずれにしても、FTDのさまざまな行動障害は病気に基づいていることは確かですが、ケアやコミュニケーションの工夫、状況・環境の整備、減薬などによって、その人がもっている力を発揮しながらいきいきと暮らすことが可能になります。病気だから仕方ないというとらえ方は通用しません。
(りんくる2008 vol.20より引用)
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前頭側頭葉変性症・3 基本

意味記憶障害型認知症
側頭葉前下方部の限局性萎縮により、言語、相貌、物品などの意味そのものがわからなくなる特殊な病態を呈します。脳梗塞のように言葉が話せないのではなく、ありふれた物の名前や使い方がわからなくなったりします。文字の読み間違いも多くなります。
語義失語では語の理解障害は目立つが、自発語は流暢で、失文法はみられず、語性錯誤はみられても、音韻性錯誤は目立たない。
しかし診察場面で、
医師「利き手はどちらですか」と尋ねると
患者「ききてって何?」
と応じるように「利き手」と復唱は可能にもかかわらず、利き手の意味はわからない。障害は具体的な名詞で著しいが、動詞、形容詞、副詞、助詞などの操作は比較的保たれている。物品の呼称課題では検者が鉛筆を見せても命名できない。さらに「えんぴ」まで語頭音を与えても「ああ、あれえんぴですか」と答える(語頭音効果なし)さらに「えんぴつ」と聞いても既知感すら認めない。また指示課題ではいくつかの物品を提示し、「鉛筆はどれですか」と尋ねても鉛筆を指すことができない。しかし鉛筆を持つと字や絵を書こうとすることから物品としての意味は保たれているが、語義のみが選択的に欠落した状態であると考えられる。またことわざなど複雑な慣用句において、「犬も歩けば棒に」とヒントを与えて問うても次の句を続けることができない。(ことわざの補完現象)
読字では類音的錯誤が顕著で、海老を「かいろう」、団子を「だんし」などと読む。また書字では汽車を「寄車」、色気を「色毛」と書くなど類音的錯書がみられる場合もあるが、通常書こうとしない。一方仮名の読み書きはよく保たれている。
相貌に関しては家族や友人、有名人など熟知相貌の認知機能障害と主治医やリハビリスタッフなど新規学習障害が認められる症例も存在する。脳血管障害による相貌失認と異なり、声を聞いてもわからず、複数の感覚入力にわたって障害が認められる点が特徴である。

進行性失語型認知症
左シルヴィウス裂周囲の限局性の変性による進行性失語です。病変は前頭葉から頭頂側頭葉にまたがっており、進行性に非流暢性失語を呈する例の中には神経病理学的にADやCBDと診断される場合もあります。
話そうとする言葉がなめらかに発音できないといった症状で始まり、次第に言葉や文章の意味の理解が難しくなっていきます。ただし、記憶障害などの症状はあまり目立ちません。
[参考・引用書物]
●よくわかるアルツハイマー病-実際にかかわる人のためにー
●神経心理学コレクション
 ピック病(松下正明・田邊敬貴)/トーク認知症(小坂憲司・田邊敬貴)

前頭側頭葉変性症・2 基本

前頭側頭型認知症(FTD)の診断基準
前頭側頭型認知症

意味記憶障害型認知症(SD)診断基準
意味記憶障害型認知症

進行性失語型認知症(PA)診断基準
進行性失語型認知症
(若年認知症の臨床/宮永 和夫著より引用しています)


若年性アルツハイマー病とBPSD

根拠となるデータが提示されないまま、伝統的に若年性アルツハイマー病は進行が早いと言われ続けてきました。確かに極少数ですが家族性AD(APP、PS-I、PS-II遺伝子)のなかで、特にPS-I遺伝子を有する方は急速に悪化するといわれています。しかし一般的に若年性だから高齢者より進行が早いということはありません。一人ひとりに適したな医療とケアがなされているかが進行に大きく影響します。また栄養状態も進行に大きく影響するようです。
若年発症例では側頭頭頂葉移行部における萎縮が有意に強く、海馬の萎縮は弱いとされています。一般に若年の発症例では脳の萎縮はびまん性かつ高度であるのに対して、高齢発症例では側頭葉内側部に限局しがちだといわれています。老人班と神経原繊維変化の出現量に注目すると、若年の前頭葉や頭頂葉ではこれらが生理的上限の10倍もみられます。ところが、生理的にも出現しやすい側頭葉では2〜3倍に程度にとどまっています。
若年性は脳の萎縮がびまん性だからといって皆さんが同じような順序で、それぞれの部位が萎縮するわけでもないし、同程度に萎縮するわけでもありません。損傷を受ける部位や程度によって現れる症状も一人ひとり違います。
若年認知症に多いBPSDは、徘徊、agitation、易刺激性、アパシー、抑うつです。
●アパシー(無為、無関心)
趣味や社会活動などに対する興味の喪失、意欲や関心の低下、自発性の低下。
アパシーは必ずしも身体活動低下を示すわけではなく、徘徊や暴力、興奮などを示す患者でもアパシーを伴うことはある。

●agitation
興奮、暴言、暴力、拒絶、介護への抵抗。
女性よりも男性に多くみられる。

●易刺激性
些細なことで不機嫌になる、急に怒る、気難しく短気である。
●抑うつ
様々な障害などによる生活能力の低下を自覚したり、周囲の人に指摘されたりすることによるストレスが発症に影響している場合もある。
※若年発症アルツハイマー病/朝田 隆(老年精神医学雑誌2009より引用)
※認知症の基礎疾患ごとのBPSDの特徴/長濱 康弘(Cognition and Dementia2010より引用)

■アルツハイマー病のBPSDの頻度で圧倒的に多いのは徘徊で、約5割の患者にみられます。
●徘徊の原因
1 認知の障害による行動(アルツハイマー病に多い)
見当識障害のため、状況を正しく認識できず、当惑したり、混乱しているためにおこるもの。
2 欲求による行動(認知症一般)
家族や介護者、食物、トイレなどを求めて、彷徨するもの。認知症一般にみられる。
3 衝動的な行動(ピック病などに多い)
不安や焦燥、衝動に駆り立てられ、介護者の制止も聞かず、取り憑かれたように歩くもの。
4 常同的な行動(ピック病などに多い)
目的もなく、同じ場所繰り返し歩き続けるもの。ピック病などに多い。
5 無目的な行動(認知症一般、重度の患者に多い)
暇を持て余すように、目的もなくフラフラと歩くもの。
6 精神症状(幻覚・妄想)に基づく行動(薬物治療が有効)
幻の声に誘われて、その通りに行動するもの。「子供が外で呼んでいる」とか「知人がお茶に呼んでいる」などと言い、徘徊する。
  ー若年認知症の臨床/宮永和夫著よりー

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