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今日から北竜町へ

移住をちょっと考えたこともある2度目の北竜町です。1度目は骨折する前の優子さんも一緒でした。とても温かい歓迎を受け、優子さんは感動し、またとても楽しむことも出来ました。火曜日からデイの仕事があるので月曜日に帰ってきます。もう少しゆっくりしたいのですが超小規模デイの管理者なので代わりがいません。
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 日本一のひまわりの町・北海道北竜町で、もう1つ、新しい地域づくりへの挑戦が始まろうとしている。北竜町は、バブル期でも、ゴルフ場もスキー場も工場誘致も断って、「国民の安全な食糧生産のまちづくり」に徹してきた町である。コメを中心に、無農薬・低農薬の安心安全で生産者の顔が見える農産物生産に徹したその試みは、今では、先端的事例として北海道農業に大きな影響を与えることになった。その豊かな自然と農業を土台にしながら、若年性認知症ケアを中心とした福祉の町づくりが進んでいるのである。
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北竜町と若年性認知症との縁は深い。平成16年(2004)、当時の一関開治町長が2期目の途中、53歳の若さで若年性認知症と診断され辞任を余儀なくされた。認知症を告知しての辞任ということもあり、その後の一関町長の闘病生活はNHKテレビのドキュメンタリー番組や書籍として全国に知られることになるが、町民たちも少しでも町長を支援しようと動きだした。しかし、症状の進行が早く、十分な支援ができないままに、一関町長の病状は悪化していった。そんな中、平成19年(2007)に、東京から中村道人さんという若年性認知症の家族が北竜町に移住してきたのである。偶然だが、奥様を若年性認知症で亡くされた北竜町出身の干場功という人が東京の「彩星(ほし)の会」という若年性認知症家族の会で活動しており、その方の紹介で北竜町に移住してきたのである。
 早速、干場氏の提案のもと、一関氏を支援しようとしていた町民たちが集まり、若年性認知症家族の会「空知ひまわり」をつくってこの家族の支援に乗り出したのである。
 「一関さんが、その病気を公表し、テレビ、マスコミに出演することによって、北竜町は若年性認知症にやさしいまちであることを全国に知らしめてくれました。それは、まさに、いのちをかけたトップセールスであり、私たちの町の歩むべき道を示唆してくれたのだと思います。それに、干場さんの東京での活動と、中村さんの移住が重なって、福祉の意識の高い町に育ってきたのです。私たちは、その財産を、これからの町づくりに活かして、福祉面でも世の中に貢献できる町にしたいと思います」
(※2012年08月30日PHP Online 衆知より引用)
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介護ストレス 2

認知症ご本人は、毎日の全ての状況からストレスを受けていますが、また介護者もご本人の重症度に関係なくストレスに満ちています。介護者のストレスを和らげることが、認知症ご本人の進行抑制にも大切なことと言われています。
5.ストレス回復方法(男性=45 女性=94)
男性 1.お酒 2.交友 3.運動 4.睡眠 5.旅行
女性 1.交友 2.食事 2.買物 4.電話 5.運動
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パーソン・センタード・ケア(PCC)では、介護する側が自分らしくいられないほど犠牲を強いられるケアは持続不可能で、受ける側が「自分の存在は相手に迷惑をかけている」と感じることにもつながりかねず、PCCの理念にも反するのです。
認知症の人が、自分は必要とされている、自分にはできることがある、と感じられることこそが重要で、家族も関わりの中で自分らしさを追求することも大切です。

介護ストレス 1

「認知症の配偶者を介護する人は、
認知症の配偶者を持たない人より、
認知症を発現するリスクが6倍高い

という研究報告が2010年に出てきており、原因はストレスの影響と考えられると小阪憲司氏がロハス・メディカルに書かれていました。
また冊子に米国アルツハイマー協会によれば、
介護する人に現れるストレスの代表的な10症状を紹介しています。
1. 認知症の否認
2. 認知症の人への怒り
3. 引きこもり
4. 将来への不安
5. 抑うつ
6. 疲労困憊
7. 不眠
8. 怒りっぽいこと(易怒性)
9. 集中力欠如
10. 心身の不健康

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NPO法人若年認知症サポートセンターの調査報告から
(介護者 男性56名、女性112名 平均年齢60.5歳)
(当事者 男性104名、女性60名 平均年齢62.6歳)
1. 介護者の健康状態
  身体症状の有無 
  ある 93% ない7%
  身体心理症状の種類
  1.疲労感 2.肩こり 3.不安 4.腰痛 5.不眠 
  6.焦燥感 7.集中力 8.健忘 9.抑うつ 10.頭痛 11.易怒

2. うつ状態になることがあるか
  1. いつもある・・・10%
  2. しばしばある・・11%
  3. ときどきある・・50%

3. 介護にストレスを感じているか
  1. 非常に感じている・・23%
  2. 感じている・・・・・41%
  3. 少し感じている・・・33%

4. 介護ストレスのストレス源
  1. 当事者の病状変化
  2. 時間的余裕がない
  3. 自分の活動が出来ない
  4. 経済的な負担
  5. 自分の健康状態
  6. 身体的な負担



還暦を迎えた妻のこと

私の妻は2002年に何か違和感を感じてA大学病院の精神科に通院を始めました。その病院では原因が解らず、主治医から都内のB大学病院を紹介されました。その病院で2003年に若年性アルツハイマー病の診断・告知を受けました。現在はC病院に通院して9年目になります。2003年50歳の時にに診断を受けてから10年経ち、60歳になりました。最初の5年間は医療を中心に考え、後半の5年間は精神的ケアを中心に考えてきた10年でした。
当初は仕事ができなくなった以外、ほぼ自立していたので2006年まで介護保険を申請しませんでした。2006年に初めて申請をして要介護1になり、2008年に要介護2、2010年に要介護3、2012年に要介護4と障害が多岐にわたり、また深くもなってきています。認知症薬はメマリーとイクセロンパッチを服用しています。量は副作用に応じて増減しています。現在、日常生活全般に介護を必要としていますが、歩行に問題はなく走ることもできます。ガイドヘルパーと一緒にプールにも週1回通っています。失禁が始まるようになったらプール通いは中止することにしています。今一番の問題は便秘で、時々起こる夜間せん妄らしき症状は便秘が原因かもしれません。また意思疎通も難しくなってきました。認知症の進行とともに新しい症状が必ず現れてきます。その対応に苦慮しながらも10年経過しました。家族会や病院で知り合った先輩家族から多くを学んで妻のケアに活かせています。成功事例は妻にほとんど役立ちませんでしたが、失敗事例は役立っています。でも本人・家族の両方に難しい病気です。

若年性認知症の疫学調査(2006〜2008年に調査、2009年3月に発表)

若年性認知症者の現状と課題
筑波大学大学院人間総合科学研究科疾患制御医学専攻精神病態医学分野
教授 朝田 隆

1 はじめに
わが国の認知症介護は、介護保険制度の開始、グループホームの整備などにより世界のトップレベルに達したと思われる。そうなって初めて、若年性認知症では経済、医療・ケア、家族の絆と、どの面をとっても極めて深刻なことに気付かされた。処遇、治療、そしてご家族への支援などに関して、老年性の認知症とは異なる固有の問題点がある。それにもかかわらず、この大きな課題は、ほぼ手付かずのままだと注意が喚起されるようになったのである。
 
2 若年性認知症とは
まず「発病年齢と調査時点における年齢がいずれも65歳未満の者」と定義した。
そのうえで、①若年性認知症の有病率を算出すること、②当事者・家族が直面する問題点を明らかにすることを研究の目的とした。

3 若年性認知症の有病率
2006〜2008年にかけて全国の5県で若年性認知症に関する疫学調査を実施した。調査実施地域は、熊本県、愛媛県、富山県、群馬県、茨城県の全域(総人口は930万人余り)である。いずれの地域でも医師会の協力を得て実施し、認知症の医療や保健・福祉などにかかわる可能性があると思われるすべての施設・機関に対して2段階でアンケートを発送し、回答を得た。
得られたデータをもとに推定された18-64歳人口における10万対の患者数は、47.6人(95% CI:45.5-49.7)。男性57.9人、女性36.7人と男性に多かった。全国における推定患者数は3.78万人と推定された。
基礎疾患として、
1. 脳血管障害  39.8%
2. アルツハイマー病  25.4%
3. 頭部外傷後遺症  7.7%
4. FTLD  3.7%
5. アルコール性認知症  3.3%
6. DLB/PDD  3.0%

男性のVaD有病率は女性の2倍以上であったが、ADについては女性の有病率が高かった。最多であったVaDのタイプ別では、脳出血、脳梗塞、くも膜下出血が多く、多発性脳梗塞やラクナ梗塞が多い高齢者の脳血管障害とは対照的である。わが国で近年減少したとされるのは、老年期の脳血管障害である。近年注目されるようになった変性性認知症である前頭側頭葉変性症(FTLD)やレビー小体型認知症(DLB)がある程度の割合で認められた。なお頭部外傷後遺症、アルコール性認知症の割合も少なくない。何ゆえVaDがさほど注目されてこなかったかについて考察した。VaD患者とその家族は脳血管障害によって惹起された身体機能障害に直面し、まずはその回復に専念する。また医療者にも同様の傾向があったかもしれない。その結果、認知障害は副次的なものとみなされてあまり注目されなかったのかもしれない。

4 患者の概況
 これについては、基準日における年齢が40歳代以下は13%程度と少なく、約8割は50歳代以上であった。推定発症年齢についても同様の傾向があったが、40歳代以下での発症が約3割であった。調査時点での重症度は、軽度・中等度・重度がそれぞれ3分の1程度であった。現在の生活の場では、自宅と病院・施設との比率はほぼ等しかった。介護保険の要介護認定については、「申請なし」が3分の1以上と多く、「要支援1」から「要介護5」まで満遍なく分布していたが、要介護3以上が3分の1を占めた。日常生活動作(ADL)については、概して自立は半数以下であった。基礎疾患別に見ると、アルコール性とFTLDにおいて自立度が高いのに対して、VaDは自立度が低い傾向にあった。合併症については、高血圧、糖尿病、高脂血症、てんかんと続いた。とくに高血圧は3割近い症例で認め、糖尿病も1割以上の例で認めた。
ー続く
(精神医学2009/職リハネットワーク2011から引用しています)

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