ごはんをおいしく食べる工夫(アルツハイマー病編)・・2

エネルギー必要量の低下によって食事の摂取量も低下することです。その人が食事の摂取量が低下すると栄養不足につながります。その人が消費している食べ物の量や種類が、必要な栄養には単に十分ではないのです。栄養不足は、さらなる無関心や混乱、感染リスクの増大、傷の治癒力の低下、肌荒れやただれ、筋力の低下や身体が思うように動かないなどといった、あらゆる身体的および精神的な健康に影響を及ぼします。
※「介護職のための 実践!パーソンセンタードケア」より引用

Q大皿などに自分で手が出せているか
 自分のご飯やおかずがどれなのかわからないようになると、大皿から取って食べるのは難しくなります。何をどれだけ取り、取ったものはどの皿に入れるのかと判断して行動しなければならないことに疲れてしまうのです。最後まで手順を間違わずに行うのは難しくなります。最初から小皿に取り分けて出すと、本人も判断したり考えることが減り、安心して食べられます。鍋料理も同じです。
A大皿から取る食べ方はやめて小皿で出す

Q箸の向きが違っていたり、向きで迷っていないか
 病状の進行とともに、箸の上下が混乱してくる場合があります。そのまま持てばいい方向に並べていても、なぜか回して反対向きにしたり、握ってしまったりということがよくあります。
周りから「逆さまですよ」などと言われて食事が止まってしまうこともあります。スタッフが「反対向きですから変えますね」と声をかけると、食べようとしている腰を折ることにもなりかねません。
A上下の区別のないお箸を使う

Qたくさんの器に迷っていないか
 食事の器を前にして、明らかに迷っていたり、食べるのが一つの器だけになってしまうことがあります。他の器をすすめても、返事はしても手は伸びず、自分で選んで食べることが負担のようです。
こうした場合、いくつかに仕切ったワンプレートにさまざまな料理をまとめて出すのが効果的です。ワンプレート全体が「一つ」と認識でき、視線や箸を動かすのも狭い範囲ですみますから、ストレスも少なく安心して食事に集中できます。
A食事をワンプレートで出す

Q食事の半分が残っていないか
 食事の食べ残しを見ていると、片側だけが残るなど何か変だなと気づきます。それは視野の半分が、見えているが認識されずに無視される、ということが関係しているのです。
こんなときは器やトレーを回転してみましょう。すると視野に入るものが変わり、気がついてもう片側も食べられます。また、空きになった食器も下げたほうが、まだ入っているのかと考え込まなくてもよくなりスムーズです。食べ残しを見過ごさず、「残り方」に注目することが必要です。
A片側が残れば器を回転する

Q食べるスピードが他の人より遅くて困ってはいないか
 食事の終盤になるとテーブルの周りはざわついてきます。「ごちそうさま」と席を立つ人、トイレに行こうとする人、歯磨きをしょうとする人などで動き始めます。
すると、まだ自分の食事は終わっていないのに同じように終わろうとする人や、あわてて口へ運ぶ人などがの姿がみられます。おそらく、ささいなことにも影響を受けやすく敏感になりやすいということが関係しているのでしょう。こんなとき「ゆっくり食べましょうね」と声をかけ、食べ終わっても他の方が座っていれば、その人も落ちついて食べ続けることができます。
A「ゆっくり食べましょうね」と声をかける

Q食べこぼしが多くないか
 食べこぼしが多いとき、小皿を持ってもらうのが有効な場合があります。こぼれないように手や小皿などで受ける動作は、長年の生活のなかで身についています。
食べこぼす原因には、道具の使いこなしが苦手になることから、お箸などが使いづらくなってくることに加え、姿勢の問題も絡みます。テーブルから離れて座り、そのまま手を伸ばすからです。
こぼしたことに気がつくと、探したり拾おうとして、食べるどころではなくなってしまいます。そうなってから声をかけても、なかなか落ち着きを取りもどすことはできません。
A小皿を手に持って食べてもらう

※「認知症ケア・これならできる50のヒント(藤本クリニック著)」より引用
※レビー小体病や前頭側頭葉変性症の場合は、アルツハイマー病とは障害や対応も違います



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ごはんをおいしく食べる工夫(アルツハイマー病編)・・1

ごはんをおいしく食べるためには、まず、「おなかがすいた!」「食べたい」と思うこと、すなわち空腹感や食欲を感じることが必要です。空腹感や食欲は、血液中の血糖値が低下することによって生じますが、食べ物の彩りや形、湯気の他、ジュージューと焼けたりグツグツと煮えたりする音、甘い・香ばしいといった匂いなど、食べ物に関する情報を視覚や聴覚、嗅覚などでキャッチし、「おいしそう!」と思うことでも高まります。
目の前にある物を見て、食べ物であることや食べ方、箸やスプーンといった道具がわかるということも必要な力だといえます。
認知症の人は食べるスピードが乱れやすく、自分のペースを保ち、しかも、むせずにおいしく味わって食べるためには食べ物や食べるということに注意を集中する力と、その力を発揮しやすい環境が大切です。
※りんくる2008.21より引用

Q飲みものを飲みものとしてわかっているか
 もともとコーヒーやジュースが好きだった人でも、病状が進行するとそれらをコーヒーやジュースと認識できず、その人の目には、コーヒーは黒くて汚い液体に、陶器のコップなどに入ったジュースも濁った液体に見えているかもしれません。
A見た目に美味しそうな工夫
コーヒーにフレッシュ、ジュースはガラスコップに入れてみる


Qカップを持ちにくそうとしていないか(持たない)
 取っ手あるカップが持ちにくくなってきます。取っ手は手に触れている感覚が少なく不安定だったり、取っ手を認識できず取っ手から飲もうとする場合もあります。
A取っ手のないカップを使ってみる

Qお皿の絵柄と格闘していないか
 症状の進行にともない食器の柄が食べものや異物に見えたり見えたりすることもあります。
また絵柄によっては「何か変な物が入っている」と不安をあおる場合もあります。
A無地のお皿を使用する

Q食器が区別できているか
 たくさんの食器が並んでいると、どれが自分の分なのかわからなくなる場合があります。色によって自分のご飯やおかずの位置がはっきりします。また、手前が見えやすい、右寄りが見えやすいなど、その人によって見え方も違います。器の並べる位置も工夫しましょう。
A鮮やかなランチョンマットを敷く

Q音楽やテレビが食事のじゃまをしていないか
 食事が進まない人を見ていると、体が細かくリズミカルに動いていることがあります。もしかしたら覚えている曲が聞こえてきて「♪フンフン」と心で口ずさんでいるのかもしれません。
A音楽やテレビは状況に合わせてオン・オフする

Qご飯だけ食べようとしないことはないですか
 よく似た色の区別がつきにくくなるとということもあります。特に内側が白い茶碗だと、白いご飯と茶碗の区別がつきません。
また、いわゆる「三角食べ」ができにくくなり、ご飯を食べ始めたらご飯ばかりになって、食べても食べても味を感じられずに止まってしまうことがあります。いずれも、その人の嗜好にあったトッピングが効果的です。
●梅干し
赤くてきれいな食材で目を引きさまし、食べなれているためすぐに反応できます。
●ふりかけ
さっと使えて便利です、白いご飯を色鮮やかなにします。
●海苔の佃煮
色は黒いのですが、しっかり味付けされているので、味覚が弱っている人にはインパクトが強く、食が進みます。
また他には、炊き込みご飯やチャーハン、ちらし寿司などもご飯全体の色合いと味覚の両方がバランスのよい刺激となり食べやすいようです。もっとも、症状にともない嗜好が極端に偏ってしまうこともあるため、注意を払いましょう。
A白いご飯に好みに応じて梅干し、ふりかけ、海苔の佃煮などでトッピング

Q食器に手が出ているか
 目の前に食事が並んでいてもなかなか食べ始められない人がいたら、何をどうしたらいいのか、わからないのかもしれません。声をかけると意識してしまい、ますますできなくなることがあります。言われたことがわからないということで、食事をやめてしまう場合もあります。
こんなときもあれこれ説明せずに、箸やご飯の茶碗などを「はい」と自然に手わたしてみましょう。
A箸や器を手に取ってもらう

Q箸やスプーンなどの使い分けができているか
 病状が進行するにつれ、箸の使い方もおぼつかなくなってくると、スプーンやフォークを使用するケースはよくあります。スプーンとフォークがいっしょに並んでいても、スープを飲むのにフォークを使ってしまうことがあります。カレーの時に箸とスプーンが並んでいると箸でカレーを食べることがあります。同じ場所に同じような用途に使うものが並んでいると、使い分ける判断が難しい。
A箸とスプーンは別々に出す
※続く

※認知症ケア・これならできる50のヒント(藤本クリニック著)より引用
※レビー小体病や前頭側頭葉変性症の場合は、アルツハイマー病とは障害や対応も違います



飲み込みやすくするために(とろみ食)

飲み込みやすくするために
とろみをつけるための食品の特徴や注意点、またとろみ調整食品の世代別特徴や上手な使い方などを紹介
水分を嚥下する際、喉頭蓋が倒れて気道を閉鎖していますが、わずかな隙間ができるため水などのサラサラした液体は気道に入りかけます。ただ、声門や声門前庭が同時に閉鎖したり、わずかな呼気が同時に起きる事で誤嚥を防止しているのです。しかし、このタイミングがずれてしまうと、健常者でも誤嚥してむせやすくなります。液体に粘性をつけると運動性が下がるので、喉頭閉鎖のタイミングがずれても気道に入りにくくなります。
粘性が低いと誤嚥しやすいですが、逆に多すぎるとべたつきが増し、送り込みにくくなるので注意が必要です。
デンプン
デンプンの特徴
とろみとして使われるデンプンには、ジャガイモデンプン(片栗粉)、トウモロコシデンプン(コーンスターチ)、サツマイモデンプン、くず粉、米粉、小麦粉などがあげられます。それぞれ特徴があり、把握して使用することが大切です。
デンプンの調理上の注意点
1 デンプンは加熱により糊状にかわります。この状態(糊化デンプン)では、消化吸収がとてもよくなります。しかし糊状になったデンプンをそのまま放置しておくと、もとのデンプンに近い状態に戻ります(老化)。
2 穀類のデンプンは油分と共に調理すると粘度が低下します。脂肪の多いものにとろみをつける場合は、分量を多めにする必要があります。
3 酸と共に加熱すると粘度が低下します。酸味の強いものにとろみをつける場合は、まずデンプンと水を一度加熱し、糊状にしたものを加えると粘度の低下を抑えられます。
4 デンプンは糖質に分類され、1g当り4kcalのエネルギーがあります。食事制限をしている方に提供する際には注意しなければなりませんが、とろみをつけるために使用する量では問題になりません。
デンプンの使用例
片栗粉は、きざんだりペーストにした肉や魚介類を固めたり、あんかけやペーストした野菜を固めて型抜きするために使用します。
コーンスターチは、洋食メニューの片栗粉にかわるものです。スープやソースにとろみをつけるとき、肉や魚のペーストのつなぎとして、テリーヌなどに利用します。
とろみ調整食品
【第1世代】デンプン系
もったりとしたとろみがつくのが特徴。
【第2世代】デンプン+グアーガム系
第1世代に比べ少量で強いとろみがつく。
唾液の影響を受けにくく、とろみがつく時間も早い。
【第3世代】キサンタンガム系
べたつきが少ないとろみがつくのが特徴。
素材の味や匂い、色を損なわずにとろみが付けられる。
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※「嚥下食ドットコム」より引用しています

ユニバーサルデザインフード

介護食品の食べやすさが4区分で分かる!
ユニバーサルデザインフードとは「食べやすさに配慮した商品」のこと。
日本介護食品協議会が認定しており、規格に適合した商品には、ユニバーサルデザインフードのマークと「かたさ」や「粘度」で分類された4つの区分が表示されています。
日常の食事から介護食まで幅広く利用可能で、パッケージに記載された区分を見れば商品を選ぶ際の目安になります。
ユニバーサルデザインフードは「食べやすさ」を規格にしているので、味付けに関しては一般の加工食品と変わりません。
日本介護食品協議会とは、介護食品に関して食べる人の状態に合わせた適切な商品を選べるように規定の制定や商品の認定を行なう業界団体のこと。

「ユニバーサルデザインフード」の商品パッケージ例
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■区分表
区分1(容易にかめる)
かむ力の目安:かたいものや大きいものは、やや食べづらい
飲み込む力の目安:普通に飲み込める

食品の形状の目安:
ご飯・・普通~やわらかい

魚・・焼き魚

卵・・厚焼き玉子
【選び方の目安】
●普通~やわらかめのご飯が食べられる。

●一口では食べきれない程度の大きいものが食べられる。

●食べ物が普通に飲み込める。

区分2(歯ぐきでつぶせる)
かむ力の目安:かたいものや大きいものは、食べづらい

飲み込む力の目安:ものによっては飲み込みづらいことがある

食品の形状の目安:
ご飯・・やわらかい~全かゆ

魚・・煮魚

卵・・だし巻き玉子

【選び方の目安】
●普通〜やわらかめのご飯やおかゆが食べられる。

●大きいものや一口大のものが食べられる。

●食べ物が普通には飲み込みづらい。

区分3(舌でつぶせる)
かむ力の目安:細かくてやわらかければ食べられる

飲み込む力の目安:水やお茶が飲み込みづらいことがある

食品の形状の目安:
ご飯・・全かゆ

魚・・魚のほぐし煮(とろみあんかけ)

卵・・スクランブルエッグ

【選び方の目安】
●おかゆが食べられる。普通?やわらかめのご飯は食べられない。

●大きいものや一口大のものは食べられない。

●みじん切り程度の細かいものが食べられる。

区分4(かまなくてよい)
かむ力の目安:固形物は小さくても食べづらい

飲み込む力の目安:水やお茶が飲み込みづらい

食品の形状の目安:
ご飯・・ペーストかゆ

魚・・白身魚の裏ごし

卵・・やわらかい茶碗蒸し(具なし)

【選び方の目安】
●ご飯やおかゆが食べられない。

●みじん切り程度の細かいものでも食べられない。

「ユニバーサルデザインフード」選び方(区分表)
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※日本介護食品協議会HP他より引用しています



注意が必要な「きざみ食」

リスクが大きいきざみ食
 わが国では、長年にわたって「きざみ食」が高齢者のための食事の代名詞として扱われてきました。
しかしながら近年、嚥下食に関する研究が進むにつれて、食形態ならびに衛生管理の観点から安全上の危険席が指摘されるようになり、嚥下食として使用することは不適切であるとの認識が定着しつつあります。
食形態上の危険性
 咀嚼・嚥下は、口に入れた食べ物が、咽頭・食道を経て胃へ送りこまれるまでの5つの過程(※下記参照)で構成されます。
 ところが「きざみ食」の場合、硬いものと軟らかいものを一律の大きさ(1cm、5mm等)に細かくきざむため、バラバラになりやすく、準備期における口の中で食塊の形成がしにくい食形態といえます。
 そのため、咽頭に残りやすく、飲み込む機能が衰えた高齢者などが、食べ物を気道に入れてしまう誤嚥を引き起こす原因になりかねません。誤嚥は、肺炎など命に関わる症状の引き金にもなることから、とても危険です。
 このように「きざみ食」は本来噛む機能を補完する食形態であり、嚥下食には不向きな食形態であることを理解し、正しく使用することが大切です。
※摂食・嚥下の過程(5期)
先行期(認知期)
 食べもの形、かたさや温度などを判断する
2準備期(咀嚼期)
 食べ物をだ液と混ぜ合わせて飲み込みやすい形状にまとめる(食塊)
3口腔期
 舌の運動によって食塊を咽頭に移動させる
4咽頭期
 食塊をゴックンと飲み込み咽頭から食道に送る
5食道期
 食道のぜん動によって食塊を胃に送る
これらの一連の動きは、一瞬(1秒以内)のうちに起こるものですが、このいずれかの段階もしくは複数の段階で何らかの問題が発生する状態が摂食・嚥下機能障がいです。
※「嚥下食ドットコム」より引用しています



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